今回は五十肩に対しての当院のアプローチについてになります!
五十肩の痛みの発症要因
治療を進めていく上で、最も重要視しなければならない症状は痛みの発生要因です。
痛みの発生要因を考えることは、運動療法を進めていく上で極めて重要になってきます。
一方で、要因となる組織を限局化することは、単純な作業ではありません。
まずは、痛みの発生要因を化学的ストレスによる痛み(炎症性)と物理的ストレスによる痛み(拘縮性)に鑑別する必要があります。
化学的ストレスによる痛み
いわゆる炎症によって発生する痛みです。
安静時痛や持続する鈍痛が多く、基本的に運動療法の適応は低く、また、急激に発生する激痛は、石灰沈着性腱板炎であることが多いです。
炎症期では、滑膜炎に伴う関節水腫の発生により関節内圧が高く、関節運動により多方向性に制限される機能改善よりも炎症の沈静化を優先すべきであり肩関節の伸展・内転・回旋方向への無理な関節操作は好ましくありません。
この時期では整形外科での疼痛のコントロールが極めて重要であり、定期的な診察が望ましいです。
痛みが消失すると、可動域も回復することが多いです。
物理的ストレスによる痛み
関節に拘縮があるために、機械的刺激が局部に集中することによって発生する痛みです。
運動時痛を基盤とし、動作の途中や最終可動域、あるいは最終域から戻した瞬間などで鋭利な痛みが起こることが多いです。
肩関節周囲組織の拘縮は、関節に偏心力を発生させ、圧縮力、牽引力、判断力、 捻転力などの機械的刺激を招きます。
これらの刺激により侵害受容器は反応し、痛みが発症すると考えられています。
痛みの要因を見極める方法としては、前述した機能的特徴を軽減した条件下で、運動時痛が寛解するか否かを確認するのが良いでしょう。
具体的には、圧縮力が痛みの要因ならば、逆に関節に牽引をかけながら関節操作をしてみる。
牽引力が痛みの要因ならば、関節を軸方向に密着させたまま操作をしてみる。
また、剪断力や捻転力が痛みの要因ならば、生理的な関節運動である滑りや転がり運動を想定して、 関節操作をしてみる。
このように、関節に負荷される偏心力を抑止した上で、 生理的な関節運動を誘導することで拘縮の改善を進めていきます。
逆に、条件を変えても疼痛が変化しない場合は、炎症を基盤とした化学的ストレスの可能性が高いと思われます。
混合型による痛み
化学的ストレスと物理的ストレスを含んだ混合型による疼痛です。
実際の臨床では、このような症例も少なくなく、それぞれの要素を含んでいると考えた方が理解しやすいです。
混合型では、暴力的な関節操作や軽度な外力により、 炎症が増悪することも少なくないので、愛護的な関節操作で対応することが望ましいです。
痛みの部位の示し方
痛みの部位や範囲を的確に捉え、その責任部位を推測することが重要であります。
しかしながら、患者さんが示す疼痛部位と疼痛の引き金となる組織は、必ずしも一致するわけではありません。
特に、第2肩関節の障害に基づく痛みは、そのほとんどが三角筋部を手掌でさするように表現することが多く見られます。
手掌で疼痛部位を表現する場合は、患者さん自身が疼痛の局在を認識できない状態であり、関連痛についても考察していく必要があります。
一 方、指尖で疼痛部位を表現できる場合は、 示した部位に病態が潜んでいる可能性が高いです。
当院ではお一人お一人違う、痛みの原因を詳細に突き止め、最適な治療法を行うことで最短でしっかりと治る治療を行ってまいります!
参照:肩関節拘縮の評価と運動療法 監修 林 典雄 執筆 赤羽根 良和