
「腕を後ろに回すと肩が痛い」
「服を着るときに肩の前が痛む」
「背中に手を回そうとすると途中で痛くて止まる」
「以前はできていたのに、最近ブラのホックやエプロンのひもがつらい」
このようなお悩みはありませんか?
腕を後ろに回して背中へ手を伸ばす動作は、日常生活では意外と多く使われています。
たとえば、
- 背中をかく
- エプロンのひもを結ぶ
- 後ろのポケットに手を入れる
- 下着や服を整える
- 上着に腕を通す
といった動作です。
腕を後ろに回したときに痛みが出ると、「肩が硬いだけかな?」と思うかもしれません。
しかし実際には、肩関節の動き、肩甲骨、周囲の腱や筋肉、痛みによる防御反応など、複数の要素が関係することがあります。
今回は西荻窪南口きりん堂接骨院が、腕を後ろに回したときに肩が痛くなる理由と、自宅で確認してほしいポイントについて解説します。
腕を後ろに回す動きは意外と複雑
背中に手を回す動作は、専門的には結帯動作などと呼ばれます。
見た目では単純に「腕を後ろへ持っていく」だけに見えますが、実際には、
肩を後ろへ動かす
↓
肩関節を内側へ回す
↓
肩甲骨が位置を変える
↓
肘を曲げる
↓
手を背中の上へ動かす
という複数の運動が組み合わさっています。
そのため、背中まで手が届かないからといって、単純に「肩の内旋が硬い」とは判断できません。
肩に痛みがある人を対象とした研究でも、背中へ手を回せる範囲と純粋な肩関節内旋との関連は低〜中程度で、結帯動作を内旋だけで評価することは適切ではないと報告されています。PubMed
腕を後ろに回すと肩が痛い主な理由
① 肩関節周囲に痛みがあり、動きを止めている
まず考えたいのが、痛みそのものによって肩を動かしにくくなっているケースです。
痛みが出ると身体は無意識にその方向への動きを避けます。
その結果、
後ろへ回す
↓
痛い
↓
途中で止める
↓
その方向を使わなくなる
という状態になることがあります。
この場合、「関節が完全に硬くなっている」のではなく、痛みによって動きを制限している可能性もあります。
だからこそ、無理やり手を背中の上へ引っ張ればいいとは限りません。
② 四十肩・五十肩が関係している
腕を後ろに回したときの痛みで確認したいものの一つが、いわゆる**四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)**です。
日本整形外科学会でも、五十肩では肩を動かしたときの痛みと運動制限がみられ、着替えなどの日常生活動作が難しくなることがあると説明されています。日本医業経営コンサルタント協会
特に、
- 腕を上げても痛い
- 後ろにも回らない
- 肩を外側へ回しにくい
- 夜にズキズキする
- 着替えがつらい
- 徐々に肩の動く範囲が狭くなった
といった症状が重なっている場合は、単なる筋肉の硬さだけではない可能性があります。
ただし、「後ろに回すと痛い=五十肩」ではありません。
③ 腱板など肩周囲の組織が関係する場合
肩関節の周囲には、肩を安定させながら動かす**腱板(ローテーターカフ)**があります。
腱板の状態によっては、
- 肩を動かすと痛い
- 夜間に痛む
- 腕に力を入れにくい
- 特定の角度で痛い
などの症状が出ることがあります。
日本整形外科学会でも、肩腱板断裂では運動痛や夜間痛、運動障害などがみられるとされています。日本医業経営コンサルタント協会
ただし、五十肩と違い、腱板断裂では肩を上げること自体はできる場合もあります。日本医業経営コンサルタント協会
つまり、
「腕は上がるから大丈夫」
だけでは判断できません。
④ 肩関節の後ろ方向・内旋方向の動きが小さい
腕を背中へ回すには、肩を後ろへ伸ばした状態で内側へ回す運動も必要になります。
この動きが小さくなっていると、
背中へ手を持っていく途中で引っかかる
肩の前後につっぱりを感じる
左右で届く高さが大きく違う
と感じることがあります。
肩を伸展した状態での内旋可動域と、結帯動作には関連があるという報告もあります。PubMed Central (PMC)
⑤ 肩甲骨や胸郭の動きも関係する
「肩が痛い=肩関節だけ」とは限りません。
腕を動かすときには、肩甲骨も胸郭の上を動きます。
デスクワークなどで長時間同じ姿勢が続くと、
- 肩が前に出やすい
- 背中が丸くなりやすい
- 肩甲骨周囲を動かす機会が少ない
という状態になることがあります。
そのため、肩関節だけを見るのではなく、肩甲骨や胸郭を含めた動作全体を見ることも大切です。
痛む場所だけで原因を決めない
「肩の前が痛いから○○筋」
「肩の後ろが痛いから○○筋」
と判断したくなるかもしれません。
しかし、痛みの場所だけで原因となる組織を正確に決めることはできません。
実際、肩の痛みには五十肩だけでなく、
腱板の問題
上腕二頭筋長頭腱周辺
石灰沈着性腱板炎
滑液包周辺の問題
など、異なる状態が含まれます。
日本整形外科学会でも、これらを診察や画像検査などによって区別するとしています。日本医業経営コンサルタント協会
そのため、「ここを揉めばいい」と自己判断するより、どの動きで痛みが出るのかを整理することが重要です。
自宅で確認してほしい3つの動き
① 腕を後ろへ回す
無理のない範囲で手を背中へ回します。
確認するのは、
- どこで痛むか
- どこまで上がるか
- 左右差
- 引っかかる感じ
- 痛みで止まるのか、硬くて止まるのか
です。
反対の手で無理に引き上げる必要はありません。
② 腕を前から上げる
今度は腕を前からゆっくり上げます。
後ろだけ痛い
場合と、
前から上げても痛い
場合では、肩の状態が違う可能性があります。
どの方向でも動かしにくい場合は、肩関節全体の動きを確認した方がよいでしょう。
③ 肘を身体につけて外側へ開く
肘を90度程度曲げ、身体の横につけます。
その状態から前腕をゆっくり外側へ動かしてみます。
左右で大きな差があるか、痛みが出るかを確認します。
五十肩などでは、こうした外旋方向の動きも制限される場合があります。日本医業経営コンサルタント協会
痛いときに無理なストレッチはしない
腕が後ろに回らないと、
「毎日強く伸ばせば柔らかくなるのでは?」
と考える方もいます。
しかし、痛みが強い時期に無理に結帯動作を繰り返す必要はありません。
特に、
- 鋭い痛み
- 夜間痛
- 動かした後まで痛みが残る
- 徐々に痛みが強くなっている
という場合は、強いストレッチを控えましょう。
「痛いところまで伸ばす」よりも、まずは痛みの出ない範囲で動かすことを基本にします。
自宅で行うなら軽い肩回しから
強い痛みがない場合は、肩をすくめるように上げてから、
後ろ → 下
へゆっくり回します。
5〜10回程度で十分です。
肩を後ろに回す動作そのものを何度も強く行うより、まずは肩甲骨周囲を軽く動かすところから始めます。
痛みが増える場合は中止してください。
こんな痛みは医療機関へ
次のような場合は、セルフケアだけで長く様子を見ず、整形外科などの医療機関で相談してください。
- 転倒や外傷後から急に痛くなった
- 夜間痛で眠れない
- 安静にしていても強く痛む
- 腕に力が入らない
- 肩がほとんど動かない
- しびれを伴う
- 徐々に症状が強くなっている
肩の痛みには複数の疾患が含まれるため、必要に応じてX線、MRI、超音波などによる評価が行われます。日本医業経営コンサルタント協会
西荻窪南口きりん堂接骨院ではどう考える?
「腕を後ろに回すと肩が痛い」という方でも、状態は同じではありません。
西荻窪南口きりん堂接骨院では、
- どの位置で痛みが出るか
- 前から腕を上げられるか
- 後ろへどこまで回せるか
- 左右差
- 肩甲骨の動き
- 胸郭との連動
- 日常生活で痛む動作
などを整理します。
「肩が硬いからほぐす」と一つに決めるのではなく、痛みが出る動作と身体の動きを分けて考えることを大切にしています。
