アスター(ASTR)
軟部組織リリースの新時代へ
今回のブログは同業者向けの内容となっております。
専門的な言葉を使っていますにで、興味のある方は、是非ご覧ください。
近年、筋膜や軟部組織へのアプローチは急速に進化を遂げています。
中でも「ASTR(Active Soft Tissue Release)」は
その効果と即効性から医療従事者の間で注目を集めている手技療法の一つです。
ASTRとは何か?
ASTRとは、Active Soft Tissue Release の略称で
日本語では「能動的軟部組織リリース」と訳されます。
これは従来の受動的なマッサージやストレッチと異なり
患者自身の運動(アクティブモーション)を伴いながら、セラピストが軟部組織をリリースしていく手技です。
このアプローチの特長は
筋膜・筋・腱・靱帯・神経滑走など、複数の組織に対して同時にアプローチできる点にあります。
慢性的な筋緊張や神経絞扼性疾患(例:胸郭出口症候群、梨状筋症候群)に対しても有効性が高いとされ
世界中の理学療法士、カイロプラクター、柔道整復師、鍼灸師の現場に導入されています。

ASTRの基本原理と施術の流れ
ASTRは以下の3つの基本要素を組み合わせて施術を行います。
- 筋膜のリリース:
専用の器具(ASTR tool)または徒手にて、癒着した筋膜や瘢痕組織に対して剪断力をかけ、柔軟性と滑走性を回復させます。 - 関節可動域の改善:
筋肉と関節を動かしながら、同時に組織の伸張や圧迫を行い、神経や筋の滑走を促進します。 - 患者主体の動作:
患者が自身の関節や筋肉を動かすことで、神経系のフィードバックが促され、**中枢神経系への再教育(motor control re-education)**にもつながります。
なぜASTRが効果的なのか?
ASTRは「動かしながら治す」という考え方が根幹にあり、以下のような生理学的メカニズムに基づいています。
- 筋膜の滑走性の回復
慢性的な筋膜の癒着は疼痛や可動域制限の大きな要因です。ASTRでは動作中に筋膜に対して剪断応力を加えることで、癒着を非侵襲的に解除します。 - 血流とリンパ循環の改善
動きの中で組織を圧迫・開放することで、局所の循環が促進され、疼痛物質の代謝・除去が早まります。 - 固有受容器の活性化
関節運動と組み合わせることで、関節包内のメカノレセプターや筋紡錘の反応を高め、身体の位置感覚(プロプリオセプション)も改善します。
臨床での応用例
ASTRは以下のような症例に対して効果が高いと報告されています
- 慢性頸部痛・肩こり・肩関節周囲炎
- 腰痛、坐骨神経痛
- 胸郭出口症候群
- テニス肘、腱鞘炎
- 足底筋膜炎
- 筋膜性疼痛症候群(MPS)
特に筋膜性疼痛症候群においては
トリガーポイントリリースと組み合わせることで相乗効果が得られることが多く
疼痛再発の予防にもつながります。

他の手技との違い
ASTRは、他の軟部組織療法(例:グラストンテクニック、IASTM、ストレインカウンターストレインなど)とは以下の点で異なります。
- 受動ではなく能動: 患者が動くことで神経系も積極的に関与します
- 短時間で効果が出やすい: 1~2分で痛みや可動域に変化が出る例も多い
- 器具を使わずに徒手でも可能: 専用ツールがあれば便利だが、徒手のみでも施術可能です
西荻窪きりん堂接骨院では、アスター(ASTR)についての動画も配信しています
興味がありましたら、治療のヒントとなるかもしれませんので
ご覧になってください。
まとめ
ASTRは、シンプルでありながら科学的な裏付けが強く、即効性のある軟部組織療法です。
患者の能動的な動作を活かすことで、単なる痛みの緩和にとどまらず
根本的な運動機能の改善が期待できるアプローチです。
現在、日本でも徐々に認知が広がっており
リハビリテーションや整骨院、鍼灸整骨院の現場でも導入が進んでいます。
臨床において「ただ押す・揉む」だけでは限界を感じている先生方にとって
ASTRは非常に有効な選択肢となるでしょう。
西荻窪南口きりん堂接骨院では
ASTRなどの手技を用いて、アプロ-チをしています。
同業者の皆さんも
地域の方々が健やかに過ごせるように
一緒に頑張りましょう!!
